早稲田大学 知覚情報システム・メディアインテリジェンス研究室

高齢者用SNS利用促進システムの実現

高齢者用SNS利用促進システムの実現

ソーシャル・ネットワークサービス(SNS)が実現する写真やビデオレターのやりとりは高齢者と家族とを結ぶ有用なサービスであるものの、SNSを利用している高齢者は多くはありません。高齢者の SNS 利用を妨げる要因としては,「機器の操作が難しい」といった操作性の問題と、「操作によって何が起こるか分からない」といった不安感の問題とがあります。本研究ではチャンネル指向インタフェースを用いたSNS利用の環境を提供することで、これらの問題の解決を図っています。

 

本研究ではこれまで、SNS のコミュニケーション機能のうち、公衆にメッセージが届く機能を全て隠したインタフェースを実装しこれを高齢者に提供して利用実験を行ってきました。この提供されたインタフェースによって、操作性と不安感の問題はともに解消されることを期待しましたが、操作性に改善は認められたものの不安感の問題は解消することが出来ませんでした。すなわち、利用者が安心してシステムを使うためには、使用するシステムが機能上安全だというだけでは不十分であることが示唆されています。そこで本研究では、高齢者が情報発信のためにどの通信サービスを利用することを信頼し、どのサービスには不安を感じるかの調査を行い、その結果を踏まえた高齢者が信頼するコミュニケーション機能を備えたSNSのコンテンツ閲覧システムを提案しています(図1)。

 

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図1:高齢者が信頼するコミュニケーション機能を備えたSNSのコンテンツ閲覧システム。高齢者がチャンネルインタフェースを用いてメッセージを投稿すると、あらかじめ指定されたメールアドレスに対してメールが送信される。受信者は、送信されたアドレスに返信することで高齢者にメッセージを送ることができる。このコミュニケーションシステムでは高齢者の利用者する SNS の状態は変わらないため、高齢者は SNS とは関係なく、安心して家族とコミュニケーションをとることができる。

 

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